【実録】分割払いでついに購入!
ThinkStation PGX——セットアップ奮闘記
「ローカルAI環境を自社に構築したい」——。そんな構想を抱いたのは、ちょうど1年前(2025年)のことでした。
しかし当時は「高すぎて到底無理」という結論に。そこから1年、様々なタイミングと奇跡が重なり、ついに念願のローカルAI環境を自社に手に入れることができました。
今回は、非専門家だった私が「ThinkStation PGX」を導入し、Web版Claudeを相棒にわずか2週間でセットアップを完了させるまでの全記録をお届けします。
もくじ
「80万円のGPU」は非現実的です
2025年当時、うちのWindows 11 PCにもグラフィックボード(GPU)は載っており、ローカルでLLMや画像生成が動くので色々試してみたものの……レスポンスが遅すぎて実用には程遠い状態。
「ならハイスペックGPUを買えばいいのでは?」と思ったが、当時RTX 5090はメモリー不足・為替の影響と、物がなく転売が横行して、な・なんとグラボ1枚で約80万円ぐらいから。
グラボに80万円を投じるのはあまりに無謀。
「ローカルAIは時期尚早」と、一度は構想を諦めざるを得ませんでした。
転換点:NVIDIA「DGX Spark」と「統合メモリ128GB」の衝撃
状況が一変したのは、2025年10月下旬のことです。
GPU単体ではなく、ローカルAI向けに最適化された統合パッケージ「NVIDIA DGX Spark」(および同等スペックのLenovo ThinkStation PGX)が登場しました。
何が凄かったのか?統合メモリ128GBの圧倒的パワー
音声認識(STT)、LLM推論、音声合成(TTS)などの複数モデルを同時にローカルで走らせることが可能に。
完全オフライン&自社制御
これまでクラウド頼みだった処理を、すべて自社マシン内で安全かつ高速完結できる環境が現実的な価格帯で手に入るようになったのです。
価格改定前の「奇跡のタイミング」
発売直後(10月中旬)、各社の価格は60万円台後半~70万円前後に設定されていました。
一度は購入しようと調べていくと、DELLやMSIなどの商品がありましたが、約70万はさすがに高く、相当悩みました。
「分割払いにすれば現実的に狙える!」と思った矢先、半月後には世界的なメモリ不足などで一斉に74万~78万円へと値上がりしてしまいます。しかし奇跡的に、値上がり前の初期価格のまま残っていた1台、ThinkStation PGXを確保することに成功!
金利手数料無料の分割払いで購入!まさに間一髪の決断での購入でした。
「aarch64」という特殊環境とネット情報の限界
年末には届いたPGX、年末年始はバタバタしており、すでに確保済みだったのもあり、箱からも出さずにそのまま2月までは手つかずのままでした。
いざ箱から本体を取り出し電源を入れた瞬間、押し寄せてきたのは重いプレッシャーでした。
「70万円の投資を無駄にできない……。
Linuxもここ4・5年は触ってないし、Pythonも少し触った程度。
さらに焦ったのは、PGXのアーキテクチャ(aarch64 ARM環境)や、LLMOを動かすための専門用語(Docker、Ollama、CUDA、aarch64…)の前に、どうしようかな...といった気持でした。
Web版Claudeを「最高の専属エンジニア」にする
そこで、Web版のClaudeに助けを求めることにしました。
「aarch64 ARM環境でPGXをセットアップするにはどうすればいい?」
返ってきたのは、単なるコマンドの羅列ではありませんでした。
「なぜこの手順が必要なのか」「aarch64環境だと何が違うのか」初心者の私にも分かるよう、根本から丁寧に解説してくれたのです。
エラーが出たら画面をそのままコピペして「どうすればいい?」と聞き、分からないコマンドがあれば「これは何をしているの?」と質問する。
例えば、Claudeに「Dockerについて?」と問いかけると、Linux初心者の自分でも分かるように、複数の比喩を使いながら根本から説明してくれます。
まるで横に超優秀で優しいベテランエンジニアがついていてくれる感覚でした。
これで月額3,000円は安すぎる!と思いながらも、Claudeに確認しながらの、怒涛のセットアップを開始しました。
構築のロードマップ(予定3週間のところ3日間で完了!)
Week 1:土台作り
環境確認から日本語入力のセットアップ。「なぜこの設定が必要か」を理解しながら前進。
Week 2:環境構築とトラブルシューティング
DockerやOllamaの導入。aarch64特有のエラーもClaudeと相談しながら即座に解決。エラーメッセージを貼り付けて「これ何が悪いんですか?」と聞けば、原因と対策を丁寧に教えてくれます。
Week 3の予定が……3日間で完成!
Open WebUIの導入とシステム統合まで一気に完了。「こんなにスムーズに統合できるのか!」と感動の連続でした。
導入して分かった「3つの真実」
① 生成AIを使えば、非専門家でも高度なシステムが組める
Linuxに詳しくない私でも、Claudeというパートナーがいれば「専門家が3日でやる作業」を「2週間」で自力完成させることができました。
技術の壁は、AIによって大きく下がっています。
② 「丸投げ」ではなく「理解しながら」実装できる
単に指示通り動かすだけでなく、AIに質問を重ねることで「なぜ動くのか」の根本的な理解が深まりました。結果として、今後の運用やトラブル対応への自信にもつながっています。
③ ローカルLLMで「実装判断の基準」が手に入った
PGXを導入することで、最先端のローカルLLMを実際に試すことができるようになりました。これまでは「クラウドAIで十分」という判断で止まっていたのですが、今は「このシステムにはローカル実装が適切だ」「こちらはクラウド連携が最適だ」という判断基準が生まれました。
ローカル処理の圧倒的なレスポンス速度、クラウド接続を待たずにAI処理が走る快適さ、そしてデータを社内で完全管理できるセキュリティ。これらを実際に体験したことで、「どのようなビジネスシーンにどのアプローチが適切か」という判断軸ができたのです。
当初は「コスト削減のために導入」という考え方もありました。しかし実際には、ローカル処理とクラウド処理を使い分ける「選択肢」を手に入れたこと、そして将来のシステム構築で「最適な判断」ができるようになったことの方が、遥かに大きな価値だと感じています。
おわりに
「詳しくないからAIやハードウェアは関係ない」——
そんな時代はもう終わりました。専門知識がなくても、優れたAIを相棒にすれば、自社専用の強力なローカルAI環境は構築できます。
さて、無事にセットアップが完了したこのThinkStation PGX。
「で、実際にこのローカルAI環境で何ができるようになったのか?」「ビジネスでどう活用しているのか?」
具体的なモデル選びや、活用シーンについては、追々次の記事からお話しします。お楽しみに!
